法律事務所の評判について

就職先を検討する際、超有名な法律事務所以外においては、ネットでその法律事務所の評判等を調べることもままあるかと思います。
では、法律事務所のネットの評判が信じられるのでしょうか？

一般民事系の法律事務所に関して
まず、あまり信用ならないのが、一般人の口コミです。
一般人は頭の狂った癖のある依頼者も多いわけですし、しかも普段法律事務所にお世話になることも全然ないので、他との比較とかできてないんですね。それにもかかわらず、気に入らなければ声を大にして文句を書くので、あまり当てにしない方がいいです。
そして、一般人の口コミが多数寄せられる事務所というのは、どういう事務所かというと、一般民事を多く取り扱っている事務所です。

つまり、一般民事を多く取り扱っている事務所に関しては、企業法務系の事務所と異なり、どうしても一般人の文句や否定的なコメントが目立つようになってきてしまいますが、明らかに問題のある場合を除いてはあまり気にしない方がいいです。

それよりも一般民事を中心に扱っている事務所で危険なのは、弁護士が1人とか2人とかなのに、事務員が十何人もいるとか、あるいは、専門WEBサイトがあって顔写真があるのに、その顔写真がその弁護士ではないとか（信じられないかもしれませんが、実在します。）そういう事務所です。
往々にして、事件屋とか変な会社に乗っ取られた事務所だったりします。

ですから、小規模事務所であれば、弁護士と事務員の人数比なんかも気にしてみたほうがいいです。

企業法務系に関して
企業法務系に関しては、取引先の企業が口コミをどこかに書くなんてことはありませんので、口コミは書かれません。
ですので、情報は人から聞くという手段によって手に入れるしかありません。

非常有名なところであっても、やらかして信頼を失っているなんてことはあるみたいですが、一般人にその情報が洩れませんので、就職する側としては入ってみるまでわかりませんね。

実際、某1部上場企業の法務部部長の方はこんなことを言っていました。
「〇〇（5大法律事務所のどこか）に依頼したら無駄に待たされて高い金もとられて結局ダメでしたで終わったよ。もうあそこには二度と頼まない！現地の法律事務所に頼んだらあっさり進んだよ！まったく。」と。
こんな風に5大でも信頼を失うような仕事をしているのですが、そんなことはネットには書かれず、悠々とピカピカオフィスで執務されていますよね。
また、5大の弁護士でも、ちょいちょい懲戒を食らうような強引な仕事の仕方をする方もいるのですが、既に確立したブランドに守られてなんの問題もなく事業を続けていますよね。
他方で、新しい事務所の人間が懲戒されるとやたらとはやし立てられます。ブランディングができておらず、叩かれ放題なわけです。
要するに、皆何となくの事務所の雰囲気（ブランディングによりうまく作り上げられている）で仕事を依頼している場合が多いです。
それと同時に、就活生も、何となくのブランドイメージで就職する場合が多いのが実情かと思われます。

ここから先は、一般民事、企業法務系の事務所両方に共通して言えることです。

よく言われるのが、修習中やローでの教官や先生に聞いてみるとよいなどと言われます。
しかし、そういう人たちからの評判がいいところというのは、基本的に古い（歴史のある）事務所です。
また、日弁連や弁護士会にコミットしている、していた人がいる事務所は良い事務所みたいな雰囲気もありますが、果たしてそうでしょうか。
近年懲戒されている弁護士の中には、弁護士会の元なんちゃらやら元裁判官やら普通にいます。
要するにベテラン勢の価値観に合致している事務所が良い事務所と評価されるようですので、まぁ、参考程度に聞いとけばいいかと思います。
私からすれば、歴史がなくとも、非常に良い仕事をしている弁護士はたくさんいるのですが、そういう事務所は歴史が浅いので、教官たちは知りません。ですから、別に良い反応もしません。


さて、もう一つ、転職サイトによる情報収集という方法も考えられます。

これを見れば、内部の実際の雰囲気や給料など結構具体的に見えてきます。
あ、あの有名な事務所もこれしか貰えないのか、など現実がはっきりと見えてきますので、良いです。
しかし、注意点として、基本的に転職サイトはその事務所に不満があって辞める人が書き込むのが大半ですので、悪く書かれがちです。また、真実が書かれているという保障もどこにもありません。
その事務所にうまくコミットできなかったから辞めるわけですしね。


ここまでご覧いただいた方ならわかると思いますが、
どれか一つの情報によることや、何となくのブランドイメージで就職先を決めるのは危険です。
複数のソースから情報を集めましょう。
人でもネットでも、どうしても情報発信者のバイアスのかかった情報になるので、何でもかんでも鵜呑みにしないように気を付けましょう。