知識や情報の価値が希薄化しているということは言うまでもない。
すなわち、私はこんなことを知っています、とかを説明できるだけでは弁護士としての価値はなくなってきている、ということである。
特に最近は、ネットの発達によって、ある程度のことなら顧客自身で調べることが可能な時代となっている。
つまり、顧客自身が既に相談に対するある程度の知識を有しているのである。
その知識の量や正確さにはもちろん差があるが、顧客にとっては自分自身のことのため、必死に調べたのか、そこらへんの弁護士よりも詳しいんじゃないかというような人もいる。
では、そのような現代人に選ばれていく弁護士であるためには、どうしたらよいのか。
最後は人間力である、というのは今後のAI時代のよくある答えであり、自分自身もこんなことを書くのは心苦しいが、そうであると思う。
何となくの雰囲気や、話を聞いてくれるかどうか、という点やもちろん相性というものも含めての人間力である。
私は、一見の客を多く相手にしているにも関わらず、非常に高い確率で受任までたどり着いている複数の弁護士に話を伺ったことがあるが、自分自身のスタイルというのは、別の弁護士の良いところを盗んでつぎはぎにしたようなものだと。
読者の皆様に安心していただきたいので言うが、
決してこの人間力と言われているものは、単なる才能や生まれ持ったものだけということではないのだ。
私がお話を伺った方々も、人の良いところを盗んで、うまく組み合わせることによって、自分自身のスタイルを確立していったのである。
つまり、弁護士になってからの研鑽によって、そのような高い受任能力を作り上げることに成功したのである。
企業法務分野においても同様で、クライアントに信頼されている先輩弁護士は、どのような話しぶり、順序でクライアントに対して様々な説明、提案をしているのか。
また、直接聞いてみてもよいかもしれない。
「どのようにしてそのクライアントとの信頼関係を作り上げたのですか。」などと。
他方で、全然信頼されていない弁護士しかいないとか、ボス1人、アソシエイト1人とかの小規模事務所に行くとそのようなことはできない。
初めは、ある程度の規模(少なくとも5人)があるところに行って、様々な良い人間力を有する人たちの対クライアントの対応というものを意識的に観察してほしい。
知識や情報の吐き出し型のつまらない弁護士になってしまっては、今後生き残れないだろう。
(クライアントもある程度の知識を有しているという前提で臨まないと、何も知らない弁護士としてレッテルを貼られてしまうので、知識の習得ももちろん重要であるが。)
色々と大変な時代に突入してきました。
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