組織内弁護士が増えるということは、法律事務所の弁護士の仕事が減ることを意味する。と私は考え、危惧している。
これは、特段深く説明しなくても、少し考えればわかることである。
従来は、法律の専門家が企業内におらず、いちいち細かいことまで外部の法律事務所、特に顧問弁護先に高い料金を払って依頼していたわけである。そして、老舗やでかい企業法務系法律事務所に、1時間あたり何万円ものフィーをつけられ、黙って払うということを繰り返してきたわけである。
しかしまぁ、できることなら払いたくないですよね。
そこで近年急速に、特に大企業においては企業内弁護士を設置するのが通常の流れになっている。
をご覧になっていただければわかるだろう。
その数は確実に増え続けている。
しかも、組織内弁護士として中途採用される弁護士は、5大法律事務所などで高度な専門性を磨いた強者が多く、そのクオリティも下手な事務所よりも高いものとなっているであろう。
組織内弁護士、ロースクール出身者によりその企業における法務のノウハウの蓄積がさらに進めば、いちいち細かいことで外部に
この、法務の内製化の流れ、もう10年もすればますます進み私個人の見解ではあるが、少人数で回しているような中堅の企業法務系の法律事務所がまず大ダメージを食らうのではないか。
まぁただ、そもそも組織内弁護士を設置する余裕のないような企業が相手であるならば、この議論は妥当しない。
むしろ確実に言えるのは、大企業が支払う法律事務所への細かい仕事のフィーは下がっていくであろう。
超高度に専門的な事項に関しては、たまーに、顧問でもないスペシャリストの弁護士に依頼すればいいことである。
また、企業法務系の事務所は、タイムチャージ式により時間をつけまくれる仕事が儲かる仕組みとなっているわけだが、このやり方もしばらくはもつがあくまでしばらくであしかないと考える。
どうしてか。
AIである。
このAIの法務への影響というものは別記事で書くことにするが、AIの発展は、タイムチャージ式で儲かる現在の仕組みというものを壊すと私は考えている。
さて、組織内弁護士に話を戻す。
以上のことから、組織内弁護士が増えるということは、企業法務を取り扱う法律事務所としては少し痛手であり、うかうかしていられないわけである。
またこれからますます弁護士の数が増えていく中で、ますます組織内弁護士が増えていくはずである。
組織内弁護士にはできないけれど、外部の弁護士にできる仕事とは何か、真剣に考えていく必要がある時代に突入していると言えよう。
(今は、不正調査、第三者委員会が大流行でこれはめっちゃ料金つけても文句も言われないので法律事務所にとっては嬉しい仕事です。一般民事の過払いブーム同様、企業法務系のドル箱かと思います。これもある意味、公平性の観点から組織内弁護士にはできない仕事ではありますが、そういう意味ではなく、クオリティや専門性での法律事務所にしかできない仕事です。)
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